晩夏の海月
時折半透明になりながら、ぽちぽち物書きしています。
本の感想:『酒アンソロジー 生きは酔々』
単色スペクトルさんのアンソロジー作品『酒アンソロジー 生きは酔々』を読了しました。
刊行は昨年の文学フリマなので読むのがすっかり遅くなってしまいました。
(自分が書く周期に入ってしまったり、仕事で読む本がたくさんあったりして・・・※言い訳)
ツイッターで感想をつぶやいていたのですが、長くなったので覚書もかねてまとめておきます。
紺堂カヤ『マルガリータ・アイズ』
 憤りやさまざまな感情を抱えて彷徨う女性たちと、彼女たちを静かに迎えるバーテンさん。
“お酒アンソロジー”というテーマを象徴するような一遍。夜の街のネオン感(?)をキラキラと感じられ、マルガリータ・アイズというタイトルが表す不思議な視点から、街を見下ろしているような気持ちになりました。わたしもいつか思いっきりグラスを叩き割ってみたいものです。(笑)
 カヤちゃんは同じサークルなので、掲載前に校正を兼ねて読ませてもらったのですが、そのときは「何か不思議な話やなあ」という感じで結構、失礼な感想を送ってしまったんです。
でも、アンソロジーのこの位置に入ることでこんなにも輝く物語だとは・・・
あらためて、物書きとしてのカヤちゃんを尊敬するのと同時に嫉妬した作品であります。ファンです。

黒い子さん『こころの月』
 薬局に務める主人公が、地下のカフェで偶然出会った美しい女性の物語。
“髄は完璧すぎて時々怖いね”
“完璧な人間なんてね、いないものよ”
セラミックの人形のような造形美の女性と、その肌から透ける血の色やとまどいの気持ちまでがお酒と一緒に香り立ってくるような一遍。
イメージとしてはずっと地下で生きているんですが、ラスト一行で外に出るというか、世界がぱっと明るくなるというか、やわらかな風が吹き抜けていくのが感じられました。

梔子花さん『果実のいたずら』
 横文字のお酒と比べて、「梅酒」という名前はより日常に近いというか、生活感のあるイメージがあります。
DVの記憶から抜けられない女性と、彼女を静かに想う彼のお話。ふたりがこれからも幸せに暮らしたらいいなあ~と思いながら読みました。
このお話でいっとう好きなのは冒頭で、「たとえば、そういうのが全部どうでも良いような関係でいられる人に、本当に本当に愛されることができたら」…そういうの、がどういうのなのかは読むと明らかになるのですが、ドラマチックというか、グッと引き込まれる一文だなあと思いました。

黒兎玖乃さん『ヒガンガエリエ』
久しぶりに郷里を訪れた主人公が、昼間から開いている居酒屋で出会った、初恋の幼馴染。
不思議で切ない物語が落語の「芝浜」と絡めて紡がれ、いいちこ、という耳馴染みのあるお酒の名前と相俟ってノスタルジックな世界へヒューンと飛んでしまいました。
このお話で好きだったところは、主人公が出遭った出来事を「妻に話したら、何て言うだろう」って思うところで、帰るところがあることの安心感とともに「ヒガン」という場所の遠さをも感じられたのでした。

硬質アルマイトさん『グッバイ・メリー』
血の繋がっていない姉に想いを寄せていた主人公が、姉の結婚を間近に久しぶりに会う決意をし、自分の想いに向き合う一夜のお話。
淡々と語られる文の中に、やるせない気持ちがギュッと詰まっています。
レストランまで歩いて行く間とか、ふたりでバスに揺られている場面とか、感情は揺れ動いているのに、目的地があって否応なしにまっすぐ移動していく、というシチュエーションがとても好きで、切なさを際立たせているように思いました。
タイトルがねすごくシンプルなんですけど、すごくよいです。

個々のおはなしも勿論のこと、序文も装幀もすごく素敵だし、最後の著者紹介も、それぞれお酒好きなんだな~と思いつつ面白く読ませていただきました。
お昼にも言っていたんですが、感想、長々と書いちゃったし、解釈違いだぜバカヤロウ!みたいのがあったら申し訳ないです、、
素敵な本に出合えてよかったです^^*
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[2017/03/21 20:29] | 読書の話 | コメント(0) |
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